使用OptiTrackシステム
- Prime17Wカメラ 6台
使用ソフトウェア
- Motive:Trackerソフトウェア
株式会社BIRDMAN
Technical Director / Device Engineer / Programmer
コバヤシタケル氏
Device Designer / Programmer / Sound Designer
梶原洋平氏
2015年3月、東京ミッドタウンに4日間だけの『空中ストア』がオープンしました。非常に軽いcrocsのNorlinを販売するショップでなんとドローンが商品を運んでくれる前代未聞のショップでした。BIRDMANではこのプロジェクトにOptiTrackモーションキャプチャシステムを使ってドローンをコントロールしました。まずはこちらをご覧ください。
商品のセールスポイントを特徴的にカッコよく表現していて、しかも楽しい。こんなイベントの縁の下の力持ちがBIRDMANのコバヤシさんと梶原さんです。空中ストアの企画は昨年夏頃にスタートし、最初は超音波、Kinect、測域センサなど主に画像解析を駆使するような10パターンくらいの方法で実験を繰り返していました。そんな中、Flex3カメラと既に販売を終了しているArenaをたまたま手にする機会があり、この企画にモーションキャプチャを使用することを現実的に検討することになりました。
しかしFlex3ではスペック的に足りず、弊社にご相談いただき、新しいソフトウェアMotiveとPrime17Wカメラのデモをご覧いただきました。カメラの調整からキャリブレーションまでスピーディに終了しすぐに精度の良いキャプチャ空間の準備ができるMotiveソフトウェアが購入を決定したポイントでした。また、Prime17Wカメラは360FPSまで計測できるハイスピードカメラでホバリングやゆっくりした動きだけではなく機敏な動きも可能な点もご好評いただいております。
本番に向けて
ボディの下にカメラが付いているタイプのドローンは地面の映像から自身の位置をある程度制御できますがBIRDMANさんが使っているドローンにはカメラがなく、また屋内なのでGPSは使用できず、結局4つのモーターの絶妙なバランスで上下左右の指令を出すしかない状態でした。もっと前、もっと右、ちょっと左、とスイカ割りと同じ要領です。
しかし慣性の法則で、指令を出してすぐに方向を変えてはくれないため、指令を出す側は少しでも遅延の少ないハイスピードカメラであることが求められます。WebカメラやKinectだと30FPSなので少しスピードがたりませんでした。Flex3カメラを使用し、まずはホバリングに成功。次に実際の現場で使用できるかテストを繰り返しましたが、なかなか思うように実現できず何度も何度もトライアンドエラーを繰り返す日々。イベントまで刻一刻と迫り来る中、360FPSまで計測できるハイスピードカメラPrime17W+Motiveに出会い、ドローンの制御に成功。準備が整ったところでラストスパートです。7mの高さにカメラを設置した本番会場では広い空間をキャリブレーションするための自作の長い長いキャリブレーションワンドをミッドタウンで振りながら変な人と思われていたかもしれません、と。そして本番当日。記者会見では大勢の報道陣に囲まれ大賑わいだったためカメラを取り付けたポールが動いてしまい、大勢の前で再度キャリブレーションをすることになった以外は非常に安定して動作していたとご満足いただきました。
インタラクティブコンテンツを行う上で問題となる遅延が非常に少ない点はもちろん、トラッキングしたいマーカーなのか不要な反射なのかを精査するためのフィルタなど細かい部分も使いこなしていただきました。ドローンが運ぶのは軽量シューズのみならずバッテリーやシューズを引き上げる磁石などで積載要領は予想以上に大きくなり、ドローン制御としてはハイレベルだったそうですが、アッパレですね。
今後に期待すること
今後OptiTrackに望むこととして、120°くらいの超ワイドレンズの搭載、複数エリアをつなぎ合わせること、マーカーレスあるいは球体マーカー以外の形認識ができるようにすることなどリクエストをいただきました。貴重なご意見として今後のバージョンに盛り込めるよう取り組めればと思います。