筑波大学
システム情報系 教授 岩田 洋夫氏(エンパワーメント情報プログラムリーダー)
システム情報系 助教 圓崎 祐貴氏
グローバル教育院 エンパワーメント情報プログラム 3年次 髙鳥 光氏
システム情報工学研究科 知能機能システム専攻 2年次 榎本 嵩久氏
国内最大級の教育用の設備を備えたエンパワーメントスタジオ
エンパワーメント情報プログラムを専攻している学生の皆さんは、このスタジオを使って自分で考えたアイディアを形にし、発表する場が与えられている。すべての作品は学生ひとりひとりが自分でアイディアを出し、自らつくり、発表する。そして世間に知ってもらうことで更にブラッシュアップした作品が出来上がる。そのアイディアを助けるのがこのエンパワーメントスタジオにある様々な設備だ。
ラージスペース
その中でも一際目を引くのがラージスペースという施設である。15m×25m 高さ8mという広大な空間の床と壁は継ぎ目がないアール構造になっており、そこが巨大なスクリーンになっている。 設計を担当された岩田先生が一番気にかけられた部分は床・壁に一切何も置かないということ。当然、床・壁がスクリーンになっているのでどこかにプロジェクターを置かなければならないのだが、すべて高さ8mのスクリーンの上に設置されている。 そしてこのラージスペースでプロジェクターとともに設置されているのがOptiTrackシステムだ。導入いただいたのはPrime 41というOptiTrackの製品の中でも一番解像度が高くどのカメラよりも遠くのマーカーをとらえることができるフラグシップモデルである。
OptiTrack導入の理由
岩田先生曰く、ずばり導入にいったった理由はPrime 41の計測範囲が業界最大であるということだった。他のモーションキャプチャカメラでは成し得ないPrime 41の最大の魅力を評価いただいたことになる。Prime 41は画角が51°、解像度が4.1MP、強力なLEDが30m先のマーカーも計測することができ、ラージスペースの巨大な空間をカバーできるのはPrime 41しかないという大変うれしい言葉をいただいた。
主にこのラージスペースなどの設備を使用するのは学生の皆さんである。
その一つがモーションベースという人を吊り下げながらラージスペースを空中浮遊できる大型クレーンのような機械を使った作品である。このクレーンのような巨大な装置をコントロールするのは体験者自身でそこにOptiTrack システムが使われている。
主にこのラージスペースなどの設備を使用するのは学生の皆さんである。
その一つがモーションベースという人を吊り下げながらラージスペースを空中浮遊できる大型クレーンのような機械を使った作品である。このクレーンのような巨大な装置をコントロールするのは体験者自身でそこにOptiTrack システムが使われている。
翼を使って体を飛翔!?
榎本さんが開発したシステムでは体験者は反射マーカーのついた3Dメガネ、同じく反射マーカーがついた翼に模したアクリル板を装着する。体験者はモーションベースに体を吊られ、腕に付けた翼で大きく羽ばたくと飛翔することができるという、誰でも一度は夢見る“空を飛ぶ”ということをVR体験できるコンテンツだ。
メガネに付いた反射マーカー、翼についた反射マーカーはそれぞれ剛体として登録されており、周囲に取り付けられたPrime 41カメラが正確にそれらの三次元位置・姿勢をリアルタイムに計測する。メガネと羽の相対位置によってモーションベースで釣り上げられる位置が変わるという仕組みである。
羽ばたかないとと下降してしまう仕様になっているらしく、常に腕を上下に動かし羽ばたいていないと高度が落ちてきてしまう。弊社のスタッフも体験させてもらったが、中々辛そうだ(笑)
榎本さんはOptiTrackカメラシステムでメガネ部分と翼部分の反射マーカーの位置・姿勢をリアルタイムに計測し、自ら作ったプログラムにトラッキングデータをストリーミングすることでモーションベースを制御している。
このコンテンツの制作にあたり、まずモーションベースの動作確認や位置把握、性能評価にもOptiTrackをご活用いただいたとのこと。例えばどのくらいワイヤーを伸ばせばどの位置にモーションベースが来るのか、モーションベースの6自由度はどのように変化するのかなどOptiTrackを大いに活用しながら検証いただいた。これにより、計算時間が少なくなり、自分の欲しいデータだけを取得することができたので作業時間が短縮できたとご評価いただいた。
映像の部分では体験者が動くとその人の視点にあわせてVR空間の映像も変化する。体験者が歩いたり、動いたりすることによって立体映像が追従する要素をプラスしているのだ。これには人がどれだけ空間内を移動したのかを正確に計測することが重要になってくる。
高鳥さんは、人がどれだけ移動したかを計測するアプローチでは、慣性式ではなく光学式である必要があったと話してくれた。
慣性式の場合は姿勢を計測し位置は計算により算出するため位置精度が期待できない。光学式でもこの広い空間(25×15×8m)を動きまわる物体を精度よく計測するとなるとOptiTrack Prime 41カメラ以外にないのではないだろうか。
また、3Dメガネ・映像・モーションキャプチャシステムをeSync2という外部同期デバイス1つで同期できる点もご評価いただいた。
今後に期待すること
数多くの剛体をトラッキングしたときに、どれだけ遅延しているのかがソフトウェアで確認できるとよい、というリクエストをいただいた。VRは遅延がシビアなリアルタイムコンテンツなので遅延を目視できるというのは重要なポイントだそうだ。また、骨格表示ができるMotive:Bodyでは独自のスケルトン(骨格モデル)をユーザーが作成できるような機能が欲しいとのリクエストをいただいた。現在はある程度決められた特徴点にマーカーを貼ることでスケルトンという骨格モデル(CGマネキン)を生成する仕組みとなっており、マーカーを追加することは可能だが、オリジナルのスケルトンを生成することはできない。ただ開発リストには重要項目としてリストアップされており近い将来カスタムスケルトンの生成が可能になることを期待したい。
使用OptiTrackシステム
- Prime 41 ×21
使用ソフトウェア
エンパワーメント情報プログラム
http://www.emp.tsukuba.ac.jp/
バーチャルリアリティ研究室
http://eva.vrlab.esys.tsukuba.ac.jp/